「ホワイトナイト」
第十一章

ホワイトナイト91

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「陽介、さ……ん」
 湿った音をたてて口接を解き、恍惚として猛が囁く。
 劣情に潤んだ陽介の目も愛おしむように細められ、一瞬たりとも離れていたくないように、猛の唇を伏し目に啄ばんだ。
 好きだ、好きだと訴えるように唇を重ね、角度を変えて淫靡に食み合う。合わせた胸から染み入ってくる陽介の熱と渇望が、猛の鼓動を甘く切なく煽っていた。

「なんだよ。やらしい顔しやがって」
 キスの合間に陽介をそっと窺い見るたび、陽介も不思議と目を開ける。
 そういう陽介の方こそ少年のように染まった頬が、眇められた双眸が、苦しくなるほどあえやかなのに。猛が震える指で陽介の頬を上下に撫で、瞳に想いをこめた刹那、陽介の腕が脇と膝とに回される。

「えっ、……え? わっ、ちょっ……」
 気づいた時には体が宙に浮き上がり、陽介に抱えられていた。
 咄嗟に陽介に腕を絡め、ぎゅっと小さくなっていると、薄暗い部屋へ連れ込まれ、ベッドの上へ投げられる。 

「ちょっ、なに、陽介さっ……!」
 波打つベッドで頭を起こし、思わず抗議しかけると、足元から陽介が乗りあげてきた。   
 蒼いような闇の中で炯々と閃く怜悧な双眸。猛の怒気を眼差しだけで封じこめ、陽介はスーツの上着を脱ぎ捨てた。同じ男のはずなのに、ネクタイの結び目に指を入れ、首を振って解く仕草もひどく艶めき、鼓動を落ち着きなくさせる。      

 静謐な寝室に衣擦れの音を鋭く響かせ、引き抜かれたネクタイが床に放られ、ジャケットの上に重なり落ちる。
 もどかしそうにシャツのボタンを外す顔。
 袖をめくって時計を外す野卑な所作にも男の色香が匂い立ち、猛を酩酊させていた。




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