「ホワイトナイト」
第十章

ホワイトナイト90

 ←ホワイトナイト89 →ホワイトナイト91
「陽介さん……」 
 猛は陽介の頭を胸にかき寄せ、ぎゅっと奥歯を食いしばる。陽介に離れていた十年分の月日ごと抱きしめられた気がした刹那、熱いものが突き上げてきた。
「……好きだから、僕」          
 どんなに迷って気後れしても、最後は陽介を求めている。
 この男の右肩に人生のすべてを賭けたとき、きっともう魂ごと奪われていた。猛の喉や唇に、忙しなく吸いついてくる男の背中を撫で擦り、猛も息を喘がせる。 

「僕も陽介さんが好きだから」    
 猛は陽介の頬を両手で包んで仰向かせた。と同時に、武装のようなシルバーフレームの眼鏡を奪い、あっけにとられる素顔の彼に恍惚として微笑みかける。
「猛……」                                

 自分で好きだと言わせておいて、聞いたら聞いたで目を丸くして驚く陽介が愛おしかった。
 猛は飛びつくように唇を重ね、陽介の肩を抱き寄せる。しなやかな首に腕をまわして性急に舌を絡め、息を荒げて競うように口づけた。
「……猛」
 重ね合わせた唇を僅かに離した陽介に、陶然として囁きかけられ、猛は微かに目を開ける。 涙でぼやけた視界を占める恋しいひとの甘い微笑み。額に目蓋に、慈愛のように降り注ぐキス。
「陽介さ、ん……」
 桜のようにほのかに染まった唇から熱のこもった息がもれると、好きだ僕もと言葉を重ね、息継ぎさえももどかしいほど互いにキスを深めていった。




にほんブログ村 BL小説
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ホワイトナイト
総もくじ 3kaku_s_L.png ほんとのことを言ってくれ
総もくじ 3kaku_s_L.png 夜のギヤマン
総もくじ 3kaku_s_L.png 死か降伏か
総もくじ 3kaku_s_L.png 咲かない桜の桜守
総もくじ 3kaku_s_L.png 向かい風を行く
もくじ  3kaku_s_L.png 電子書籍関連
総もくじ  3kaku_s_L.png ホワイトナイト
総もくじ  3kaku_s_L.png ほんとのことを言ってくれ
総もくじ  3kaku_s_L.png 夜のギヤマン
総もくじ  3kaku_s_L.png 死か降伏か
総もくじ  3kaku_s_L.png 咲かない桜の桜守
総もくじ  3kaku_s_L.png 向かい風を行く
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【ホワイトナイト89】へ  【ホワイトナイト91】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメン卜投稿不可です。
  • 【ホワイトナイト89】へ
  • 【ホワイトナイト91】へ