「ホワイトナイト」
第八章

ホワイトナイト77

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陽介がずっと考えてくれていた。          
 望月を三週間も長期滞在させるほど。その間ずっと写真でいいから会いたい、見たいと思ってくれていた事は猛を安堵させていた。けれども、それは知人であり仕事相手でもある自分が追い詰められていないかどうか『心配』だった。それだけの事だと唇を噛む。

 自分はもうその程度では満足できない。   
 陽介にとって、あらゆる意味での優先順位が一位でなければ納得できない。それほどまでに自分は陽介を求めている。自分の方こそあらゆる意味で。

 逃げるように事務所に戻り、応接セットのソファに座りこむと、猛は肩を喘がせた。胸が破れそうなほど鼓動が高鳴り、息まで熱い。体の震えを深呼吸して落ち着かせ、最後に両手で顔を覆った。                                     
 いつのまに、こんなに惹かれていたのだろう。          
 しかも陽介の右腕になる能力もコネも自分にはないくせに、分不相応に望んで駄々をこねている。猛は両手で顔を上下に擦り、喉奥で低く唸り続けた。なんて情けないんだろう。  

 挙げ句、やっと帰ってきてくれた陽介を責めて突き放してきた。
 どこまで幼稚なんだと落ち込んで、項垂れたまま何度も嘆息していると、山岸が事務所に飛び込んでくる。
「猛さん。……ちょっと」
 と、突進するように近づかれ、猛は反射的に腰を浮かせた。
「どうしたんです? そんなに慌てて」
 何か緊急のトラブルなのかと身構えていると、山岸が耳元で口早に囁く。
 「さきほど私の携帯にお電話があったんですが、猛さんから折り返し連絡して頂けないでしょうか。できれば今すぐ。早急に」
「えっ、……って、誰から? 陽介さん?」
 沈着冷静な山岸のこの動揺といい、口調といい、悪い予感にかられて猛も俄に顔を引きしめた。けれども山岸が続けた相手の名前に、猛は想像以上に驚かされる。

「芹沢製薬の専務からです」    
「えっ……? 芹沢製薬の、専務から?」
「すぐに折り返し、猛さんから連絡して欲しいとの事でした」
 山岸は小さく頷き返すとソファを離れ、まるで周囲を憚るように事務所のドアをそっと閉めた。   




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