「ホワイトナイト」
第八章

ホワイトナイト73

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 猛が頬を強ばらせたまま、母屋の事務室に戻ってくると、給湯室から房子が出てきた。
「さっき陽介さんが戻ってらして、こちらに挨拶にみえたんですけど。お会いになりませんでした?」
「裏庭で会ったよ。綾さんも来てた」
「そうですか。陽介さんも前よりずっと男前になっちゃって。何だか緊張しちゃいましたよ」 
 房子は苦笑をすると、応接セットのテーブルにお茶とぜんざいの椀を並べた。

「あれ? 今日はぜんざい炊いたんだ」
「だって、今日は小正月でしょう」
 この辺りには元旦から十五日目の小正月に、一年の無病息災を祈って小豆を食べる習わしがある。猛はソファに腰を下ろし、ほっこり炊かれたぜんざいと熱々の焼き餅を頬張った。
「あったまるね……」
「陽介さんとは、お話しになりました?」  
「うん。……大体の事情は聞いてきた」  
 言葉を濁した猛の前に房子もそっと腰をかけると、深々と重いため息を吐く。

「山岸さんにも私にも、心配させて申し訳なかったって謝ってくれたんですよ、陽介さん。本当に何度も頭、下げてくれて」    
「……そう」
「仕方ないですよね。だって全部、芹沢会長から私達を守ろうとしてやったことなんですから。こっちだって責められませんよ」    
 お茶をすすった房子の頬が、不安も疑念も何もかも手放したように綻んでいる。
「……房子さんは本当にそう思ってる?」
「えっ?」
「陽介さんが買収したのは自分の会社の利益じゃなくて、本当に僕達のためなんだって……」




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