「ホワイトナイト」
第六章

ホワイトナイト61

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鏡面のような黒大理石の壁と柱。
 高い天井から吊り下げられたクリスタルのシャンデリア。メタリックなインテリアと観葉植物。どこかのホテルのコンベションルームだろうか。
 壁際にしつらえられたテーブル席に横一列に並び座る外国人の中央に陽介が座り、カメラのフラッシュを浴びていた。

「陽介、さん……?」
 猛は茫然として、ひとりごちた。
 上質な光沢を放つダークグレーのスリーピースに紺のネクタイ。ラベンダーのポケットチーフで顔周りに華やかさを演出した陽介がインタビューに答えるたびに、夥しい数のフラッシュが焚かれていた。
 続けられたニュースによれば、シカゴでも老舗の製薬メーカーが成井ファンドと提携し、芹沢製薬買収のバックアップに乗り出すという。

「ドえらい事になったぞ、これは……」
 デクスを離れた山岸もテレビの前までやってきて、食い入るように画面に見入った。
 猛と山岸のただならぬ気配を察した房子が給湯室から顔を出し、つられるようにテレビに目をやる。   

「なんで、陽介さんがテレビになんか出てるんですか?」
「TOBだよ……」 
「はあ? 何ですか? その『ティー、オー、ビー』って……」   
「陽介さんが、芹沢製薬の敵対的買収を仕掛けたんだ」                 
 信じられないと呟く猛に、房子はさらに問いを重ねた。
「はあ……。買、収……、ですか?」             
「乗っ取りだよ。陽介さんがシカゴでも一、二を争う製薬メーカーと業務提携して、一緒に芹沢製薬の買収にかかったんだ」             
 わかったようなわからないような顔で頷く房子に、断続的に猛が答える。猛はすぐにパソコンを起動させ、情報収集の検索をかける。            
「だから、陽介さんは年末からずっと日本を離れていたってわけですか……」        
 山岸はようやく合点がいったように頷いていたが、彼の目にも興奮の色が隠せない。また、同じようにテレビでニュースを知ったのか、深夜にも関わらず事務所の電話が一斉に鳴り始めた。


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