「ホワイトナイト」
第六章

ホワイトナイト57

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「肌も結構荒れてるからさ」
「そうですか? そんなに見苦しいですか?」
「いやいや、今でも充分可愛いけどさ。だけど、この前会った時は唇もほっぺもツヤツヤ薔薇色だったから」  
「それもどうかと思いますけど……」     
 鼻白む猛に微笑で応え、再び猛にカメラを向けると、小さい子供の気を引くように頭の上で手を振った。            
「ほら。もっと可愛い顔してよ。ちゃんと撮ってあげるから」
「仕事じゃないなら笑いませんよ」 
 憮然としたまま仁王立ちする猛に何度かシャッターを切り、望月はカメラを顔から離した。

「それだけ口がまわるなら心配ないか」  
 意味深に笑んだ唇の端に煙草をくわえ、望月が艶冶に双眸を眇める。

「……って、言っておくね? 今日のところは」
「えっ?」                 
 話が飛躍しすぎて、猛は何のことだと目を瞬いた。すると、望月は唇に挟んだ煙草を外し、愛おしむように目を細めらる。

「ごめんね。ここって全館禁煙だっけ?」  
「いいえ。喫煙ルームがありますから、そちらでどうぞ」
「ありがとう」
 廊下の突き当たりを猛が示すと、望月はゆったり踵を返した。
「じゃあ、仕事の時は可愛い顔でサービスしてね」       
 しかし、際どい台詞で周囲をぎょっと振り向かせながら去っていく。やはり陽介のようにアクの強い人間には、望月ぐらい一癖も二癖もある人物でなければ、きっと太刀打ちできないのだろう。

 そういう意味でも、自分は陽介の右腕にはなりきれなかった。
 猛はざらりと荒れた手触りの頬を上下に擦り、苦笑で頬を歪めるしかない。


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