「向かい風を行く」
第七章

向かい風を行く 72(R18)

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「……はっ、あっ、甲斐。あ……っ」
静謐な部屋に粘膜を擦るねちねちという淫靡な音が響いていた。
いつしか美貴は抗いがたい情欲の波に呑み込まれ、
あられもないほど夢中で性器を扱きたてた。
背を弓なりに反らして喘ぎ、卑猥に腰を揺らめかせる。
 
その手元からはみ出た亀頭に舌を這わせて吸いつく男。
性器にかかる荒い息。
節高の人差し指でも内襞を擦られ続けているうちに、
腰の奥から濃艶で甘美な愉悦がわき起こり、自慰する右手も止まっていた。
「あっ、……あっ、あ……っ!」
甲斐の指が二本に増やされ、さらに奥まで苛まれる。
くっと軽く押されただけで、陸に上がった魚のように飛び跳ねるほど
感じてしまう箇所がある。
ローションをたっぷりまとわせた甲斐の指が、
緩急つけて美貴の中を出入りする。そして美貴が油断しかけた頃合いを
見計らっているように、またそこを指の腹で擦るのだ。
「い……っ、ああ! あっ、あっ」
抑えきれない嬌声が自分の耳を犯している。
甲斐は黙ったままなのに。
巧みに美貴を昂ぶらせ、翻弄させているだけだ。

「あ、甲斐、……なんか、も……う。俺……」
天を向いて唇を開き、美貴は陶然として訴える。
このまま一人でイカされるなんて何か悔しい。甲斐にも我を忘れさせたい。
夢中になって欲しかった。
「できそう?」
「……たぶん。自信ないけど。……初めてだし」
 
できるかどうか、そんなこと。やってみるまでわからない。
美貴は曖昧に語尾を濁しつつ、こくりと頷き、目を伏せた。
ここまで焦らしておきながら、結局最後までできないなんて醜態は、
甲斐にしてみれば肩すかしもいいところだろう。
身勝手すぎると、それは自分でもわかっていた。
わかってはいるけれど、甲斐をこのまま離したくない。
心も身体もまるごと恋人になる夢を手離せなかった。どうしても。

「俺もゆっくりするし、無理しない。
だから、ヨシキさんも駄目なら駄目って、ちゃんと言って。
大丈夫。今日、全部できなくたっていんだし」
「うん……」
うつむく美貴をあやすように、甲斐が額にキスしてきた。
今日、全部できなくたっていいと言う。
その甲斐の声音は確固としていて、美貴は少しだけほっとする。
そして、再びサイドテーブルに手をかけた。
しかし、咄嗟に美貴はコンドームを出す甲斐を制して言い切った。


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エブリスタでも『天下分け目のBL合戦』企画にプラチナ文庫様『ピュアラブ』部門で連載しています。
舞台は京都。お香屋さんの一人息子(大学生)が主人公。
特殊な五感の少年と、チャラ男刑事の間で主人公が揺れまどう話です。
一応ピュアラブで、なんかほのぼの。
だけど、次々事件が起きるサスペンスタッチ。いつものようにいろんな意味でごった煮のBLです。
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