「向かい風を行く」
第七章

向かい風を行く 68(R18)

 ←向かい風をゆく 67(R18) →向かい風を行く 69(R18)
甲斐は男同士のセックスに慣れている。
悔しいぐらいに知っている。
それは流れるような愛撫や所作が雄弁に語っていた。それなのに自分は初めてだ。
こんな時の反応は何が正解で何が駄目かも、わからない。
 
女の子みたいにすればいいのかも、
それとも男なんだから、自分も甲斐に同じようにするべきなのかもわからない。
そして何よりも恐いのは変に喘いで白けさせることだった。
 
ヤッてみたら本当に思ってたのと違ったと、後で甲斐にがっかりされたらどうしよう。
どうすればいいのか、わからない。
感じるどころか身体はどんどん強張った。
不安と焦りが頭と胸で渦巻いて、爆発しそうになっている。
なのに、理性も意地も何もかも奪い取ろうとするように、執拗に胸を攻められる。

「……あっ!」
甲斐の硬い舌先で乳首の周囲をゆったり円を描いて舐められて、
堪らず唇が解けていた。
こうしてぎゅっと目を閉じて、甲斐から顔を背けても、
小さく乳首を吸い上げる唾液の濡れた音ですら甘い愛撫のようだった。

「待って! ……待って、甲斐、こんな……」
堪らず行為を制止して、悲鳴のように訴えた。
「……ヨシキさん?」
「だって、こんな、……変じゃん、絶対。俺、なんか……」
二十四にもなった男が乳首を吸われて喘ぐ図なんて、自分だって見たくない。
ましてや甲斐に呆れられたら。嫌われたら。
恐怖に近い不安と躊躇が交差して、子供みたいに泣きそうになっていた。
 
あんな啖呵を切っておきながら、いざとなったらこのザマだ。
往生際が悪すぎる。
美貴は両手で顔を覆い隠し、今度は涙を堪えていた。


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
にほんブログ村 BL小説

エブリスタでも『天下分け目のBL合戦』企画にプラチナ文庫様『ピュアラブ』部門で連載しています。
舞台は京都。お香屋さんの一人息子(大学生)が主人公。
特殊な五感の少年と、チャラ男刑事の間で主人公が揺れまどう話です。
一応ピュアラブで、なんかほのぼの。
だけど、次々事件が起きるサスペンスタッチ。いつものようにいろんな意味でごった煮のBLです。
エブリスタ【色は匂えど散りぬるを】のページは→こちらから。
小説投稿サイト【 カクヨム 】でも、
『東京ラプソディ』という、昭和初期のカフェーを舞台にした、レトロなBLを書いています。
東京ラプソディの【 カクヨム 】ページは→ こちら から
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ホワイトナイト
総もくじ 3kaku_s_L.png ほんとのことを言ってくれ
総もくじ 3kaku_s_L.png 夜のギヤマン
総もくじ 3kaku_s_L.png 死か降伏か
総もくじ 3kaku_s_L.png 咲かない桜の桜守
総もくじ 3kaku_s_L.png 向かい風を行く
総もくじ 3kaku_s_L.png 一緒にいようよ
もくじ  3kaku_s_L.png 電子書籍関連
総もくじ  3kaku_s_L.png ホワイトナイト
総もくじ  3kaku_s_L.png ほんとのことを言ってくれ
総もくじ  3kaku_s_L.png 夜のギヤマン
総もくじ  3kaku_s_L.png 死か降伏か
総もくじ  3kaku_s_L.png 咲かない桜の桜守
総もくじ  3kaku_s_L.png 向かい風を行く
総もくじ  3kaku_s_L.png 一緒にいようよ
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【向かい風をゆく 67(R18)】へ  【向かい風を行く 69(R18)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメン卜投稿不可です。
  • 【向かい風をゆく 67(R18)】へ
  • 【向かい風を行く 69(R18)】へ