「向かい風を行く」
第七章

向かい風を行く 66

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「好きですよ。ヨシキさんと同じ意味で」
きっぱりとした声だった。
寝室のドア近くにいる甲斐とは距離があったのに、
好きだという三文字が魂に直に打ち込まれたかのような
力があった。痛みがあった。

甲斐は壁のスイッチに手を伸ばし、部屋の灯りを消し去った。
闇に覆われた寝室を突っ切って、甲斐が美貴の隣に腰かける。
「本当に、あんまり好き過ぎて……。ずっと頭おかしくなりそうだったのに……」
ベッドのスプリングが上下して、
甲斐の発熱したような熱い手に二の腕をぎゅっと掴まれた。
美貴は咄嗟に肩を引いた。
だが、逃がすまいとするように、今度は両肩を握られる。

「なのに、こんなこと言われたら、もう絶対無理じゃないですか。
ブレーキきかない。無理ですよ」
甲斐が泣き笑いに近い苦笑を見せる。
迷いと戸惑いと歓喜と焦りが爆発しそうな顔つきだ。
それでも間近に寄せられた双眸には、澄んだ光が戻っていた。

「甲斐……」
この甲斐は、気が狂うほど求め続けた甲斐だった。
仮面と鎧をかなぐり捨てた甲斐だった。
膨れ上がった愛しさが体中を駆けめぐり、出口を求めて逆巻いた。
その熱情が向かう先へと引きつけられ、
考えるより先に身体が傾いでいた。
甲斐の腿に手をついて、美貴は語尾を消え入らせた。

言葉は、もういい。
どんな風に好きなのか、あとはキスで伝えたい。素肌に触れる掌で、
抱きしめる腕の力で教えたい。
美貴は口づけを乞うように目を細め、唇を花のように開かせた。

その唇にそっと唇が重ねられ、どちらからともなく吸い合った。
切り取られた静寂の中に唇が立てる濡れた音が聞こえたり、消えたりをくり返す。
やがて甲斐の肩に押されながらベッドに倒れ、
すかさず乗り上げてきた甲斐を夢中でかき寄せる。
「……好きだったんです、本当は」
「俺も」
好きだと返す前に口づけられ、言い切ることができずにいた。


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