「向かい風を行く」
第六章

向かい風を行く 61

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同じ男だからこそ、
甲斐が言おうとすることは、薄々想像できている。
「いくら好き好き言ってても、
どうせセックスできないくせにって言いたいんだろ」
「ヨシキさん」
「まあ、俺も男だし。わかるよ。なんか、そういうの。
いくら好きでもヤルのは嫌とか言われたら、付き合ってる意味ねえからな」
美貴はベンチを飛び下りた。
やはり図星だったのか、決まり悪げに甲斐は眉をしかめている。
そんな甲斐に再び詰め寄り、長身の男を仰ぎ見た。

「じゃあ、全部俺にしてみろよ」
「えっ……?」
「ヤラねえと信用できねえって言うんなら、返事は俺としてからでいい」
甲斐は唖然としていたが、美貴は投げつけるように言い立てた。
ぐっと奥歯を食いしめなければ、肩が震え出しそうだ。
ともすれば、わっと叫んで逃げたくなるほど恐かった。

恐いのは甲斐じゃない。本当に知らないからだ。男同志のセックスを。
その先に何があるのかわからない。
どうなってしまうのかもわからない。
さっきから思っていること、言っていること、
していることが全部でたらめのような気がしていた。
それでいて、全部が本当なのだと美貴は思う。

それでも甲斐をこんなにも欲しがることをやめられずにいる。
恋に落ちてしまっている。
美貴は唇を引き結び、
呆気にとられているような甲斐を毅然と睨み上げた。
今度はこちらが甲斐の返事を待つ番だ。


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