「ホワイトナイト」
第四章

ホワイトナイト41

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「……冷えるな、今日は」             
 吹きつける木枯らしに目を細め、欠けた月を仰いで呟く。 
 冴々とした月明かりに照らし出される横顔は少年のように汚れがなくて静謐だった。その繊細な横顔の稜線を眺めるうちに、切なくなるほど鼓動が高鳴り、怒る気力をなくしてしまう。

 こんな所も陽介は本当に狡いとあらためて思う。
 猛は拗ねるように口を噤み、陽介の後に続いて歩いた。ゆるやかな勾配の坂道は去りゆく秋の寂寥に包まれ、二人分の靴音だけが鋭く耳に響き渡った。

 街道添いの枯れ木立。                               
 軒下に干柿を吊す民家はどこも雨戸も戸口も堅く閉じられ、ひっそり静まりかえっている。
 道路横の細い水路にひたひた流れる水音に、いつしか靴音を重ねていると、陽介が投げ出すようにぽつりと言った。

「お前はどうする?」
「……えっ?」                
「俺なんかにくっついてたら、この先この土地で働くことなんかできなくなるぞ」

 頑なに前を向いたまま、自嘲混じりに問い質されて、猛は言葉を詰まらせる。
 南木曽界隈に絶大な権力をふるう芹沢会長。その会長を敵にまわした陽介に、今後もついて行けるのか。      
 自問自答を始めた猛の脳裏を従業員の不安げな目がよぎっていった。
 代表取締役の自分の肩には、彼らとその家族達の人生がかかっている。速答できずに黙りこんだ猛の隣で失笑をもらし、陽介がふいに足を速める。     


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