「向かい風を行く」
第二章

向かい風を行く 7

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甲斐と出会って二週間ほど経った頃。
週末の夜に、美貴は友人達総勢四人で自宅近くのファミレスに寄り、
酒やつまみやデザートを思い思いに注文した。
同席しているメンバーは、
看護婦四人組との合コンに臨んだ高校時代の同級生だが、
男女双方盛り上がりに欠け、
結局、誰からも連絡先さえ聞けず終いになっていた。
そんな不毛な合コンの愚痴を言い合い始めた時だった。

「えっ……?」
美貴は真向いのボックス席に座っている甲斐に気づいて瞠目した。
その甲斐はといえば、男女交えて四人組の客としてテーブルを囲み、
所在なげにコーヒーを飲んでいる。
美貴はやにわに眉をしかめ、対岸に座る甲斐を睨みつけた。
 
もしかしたら、向こうも合コンだったりするのか、と。
自分達とは雑談ひとつしないくせに、友達とならいいのかと。
しかも合コンだったら顔を出すのかと思ったらと、無性に腹が立ってきた。
美貴は早速甲斐に電話して、しつこくコールし続けた。
「おい。なに、いきなり電話してんだよ」
突然電話をし始めた美貴を、連れの友人が訝った。
それを黙って掌で制し、甲斐の様子を注視する。
甲斐はやがて携帯を出し、送信者名を伏し目に見ているようだった。
そのまま無視されるのかと思ったが、
すぐに通話に出られた刹那、美貴は自分でも驚くぐらいたじろいだ。

『はい。甲斐です』
「あ、……ああ、俺。椎名だけど」
『どうしたんですか? こんな時間に』
甲斐は言いながら、腕時計に視線を転じていた。
確かにこんな十二時近い深夜に電話をしたのは初めてだ。

「ちょっと、お前。そのまま、まっすぐ前見てみ」
『えっ?』
「お前。今ファミレス居んだろが。ちょっと、そのまま前見てみ?」
甲斐は首を傾げつつ、言われるままに目を上げた。
そんな彼の正面に当たるボックス席に自分はいる。
美貴はテーブル席を介する形で甲斐に向き合い、憮然としたまま手を上げた。
そして、耳にあてた携帯から驚きの声が聞こえると、
眉を悪戯っぽくそびやかせ、その手をひらひら振って見せた。


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