「咲かない桜の桜守」
第七章

咲かない桜の桜守 50(R18)

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松田と視線を絡ませて、
羽太は松田の頬に貼りついた黒髪を指で梳く。
肌を合わせ、こうして身体まで繋いでいる。
だからこそ、優しさといたわりの仮面の下にあるはずの、
壊れた松田が見たくなる。
そうして息を凝らして待っていると、松田の髪を梳いていた右手を
不意に握られる。

「いいんだな?」
松田が猟犬のような目になった。握られた手首が痛かった。
「いいよ」
返事をして気がついた。自分も松田に壊されたい。
自分ではない別の何かになりたかった。
松田が伏し目がちに黙って顔を近づけて、重ねるだけのキスをした。
その唇が離される。
睫毛が触れ合う近さで二人して互いの目の奥を射抜いたら、
二人で行く所まで行くのだと頷き合い、自然に笑みが浮かんでいた。
それが合図になっていた。

最初は短い出し入れをくり返し、大きく腰を回す事で隘路を広げて、
馴染ませる。まるで準備運動だ。それなら次は。次こそ来るに違いない。
羽太は鼓動を高鳴らせる。
恐いのではなく、与えてもらえる悦楽の期待で胸が膨れ上がり、
奮えそうになっている。
と、その時、ずるりとした感触とともに松田のそれが引き抜かれ、
角度を変えて一気に奥まで穿たれた。

「ああっ! い……、はっ、ああっ」
火柱のような快感が背骨を駆け抜けた。
腰の奥まで届いた痺れが背骨を貫いて、理性の壁を突き破る。
そのまま手加減などなく突き上げられ、穿たれて、
肉と肉がぶつかり合う卑猥な音しかしなかった。

「あっ、あっ、んんっ! あっ、……そこ、あっ……。駄目、なんか……」
自分で何を言っているのかも、わからないほど揺さぶられ、
奥の奥まで侵される。
羽太は壊れたように声を上げ、松田の肩に爪を深く食い込ませた。
自分も松田に痕跡を残したい。
傷でもキスでも何でもいい。
この男を自分だけのものにした証のような消えない痕を刻みたい。

「……キス、キスして。松田、さ……」
涙がはらはらと、こめかみを伝い流れて止まらない。
好きだ、好きだと剥き出しの松田を叩きつけられ、ぶつけられ、
心臓が握りつぶされそうだった。
羽太は弱々しく松田の顔に手を伸ばし、その頬に触れかけた。
けれど鋭く払いのけられ、火がついたようにキスされる。
息継ぎすらままならない程、口腔深く貪り尽くされ、満たされる。
松田の肩に腕を巻きつけて、羽太も松田に吸いついた。
乱暴なのにいやらしい舌先に。熱っぽい唇に。

「い、あっ! ああっ……ああっ」
キスを解いた松田が怒ったような顔のまま、
羽太の片足を持ち上げた。腿を鷲掴みにして持ち上げて、
接合を深くした松田が体重をかけてくる。
そのまま苛烈に腰を打ちつけられ、声も涙も止まらない。
目が回りそうなほど穿ったあと、これでも足りないと言うように、
掌が身体中を這いまわる。
むず痒かった乳首にも吸いついて歯を立てる。
松田の清潔な白い歯が、過敏になった左右のそれに食いついた。

「あっ、それ。……それ、いい。あっ、あっ」
欲しかった刺激で背がしなる。
羽太は松田の頭を両手でかき抱いた。
欲しかったのはこれだった。狂ったように求められたい。
それしかなかった。頭には。

「松田さ……、あっ、ああ……っ」
「……羽太っ」
更に激しく深く奥を掻き混ぜられ、
送り込まれる律動が徐々に速さを増し、容赦なく羽太を追い上げる。
松田の堅い下腹で擦られ続けた軸から滴る体液が尻を伝い、
布団を冷たく濡らしている。
胸をまさぐる湿った掌。乳首をかすめる松田の犬歯。
突かれるたびに、もたつく音をたてている熱く蕩けた深部から、
うなりをあげて火柱がたち、羽太は全身を強ばらせる。 

「ああっ、いく……っ」
イク、とだけくり返し、顎を鋭く突き上げる。
ぐんと背筋を逸らした松田もまた、羽太の腰骨を掴んで束の間息を止め、
羽太の身体の最奥に灼熱の激情を迸らせた。
「くっ……」
射精したあと二度、三度、腰をゆすって逐情し、
一滴たりとも残さず羽太に注ぎ込む。
「あっ、……あ、あっ……」 
放たれた大量の精液が接合部から染み出して、
羽太の会陰にとろりと流れ込んでくる。それだけでまた身震いする。
身体のいちばん深い所で感じた熱が閃光のように脳を照らし、
このまま自分が透けて消える気がしていた。
目がくらむようだった。 

「あっ、……羽太……」
甘えるような声を出し、松田が倒れ込んで来た。
羽太はまだ身体の奥に松田の一部を感じたまま、両腕でしっかりと
抱き止める。片手で髪をくしゃりと撫で、片手で背中を愛撫する。
うなじで感じる荒い息も、
重ねた胸で感じる松田の速い鼓動も愛しくて、涙に変わりそうになる。
羽太は顔を少しだけずらし、松田のこめかみにキスをした。



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