「咲かない桜の桜守」
第七章

咲かない桜の桜守 48(R18)

 ←咲かない桜の桜守 47(R18) →咲かない桜の桜守 49(R18)
汗濡れた胸をあわせたまま、松田が苦しげに囁いた。
松田の頬から玉のような汗が流れている。
肩で息をしながらも、逆巻く激情をかろうじて封じ込めているように。

「お前は、どうしたい……?」
頭を起こしてもう一度、かすれた声で訊ねられる。
羽太の目の奥にある本心を読み取ろうとしている目だ。
最初の時のように何が何でもこうなりたい。
恋人になりたいと駄々をこねているような押しの強さは陰をひそめ、
松田は静謐に返事を待っている。

「……僕は」
羽太は一言告げたきり、胸がつまったようになる。
恐い、嫌だと言ったら、ここまでだ。
ここから先は互いの気持ちが伴わなければ意味がない。松田はきっとそう思っている。
だから今はまだそこまで頭が追いつかない。
正直にそう言えば、こちらの準備ができるまで松田は待つ気でいるのだろう。

咄嗟に言葉にならなくて、黙り込んだ羽太を見て、
松田が何かを言外に察したような顔をした。
そして少しだけ寂しそうに眉を下げ、起き上がろうとした刹那、
夢中で松田に抱きついた。
「……羽太?」
飛びついた羽太を抱き止めつつ、松田の声が上擦った。
「うん、……うん。最後までして」
羽太は懇願するように言い募り、逞しい肩に額をぎゅっと押し当てる。
羽太には松田がどこまで何をする気でいるのか、わからないままここまできた。
けれど、男の自分とそこまでしたいと思っていた。
それが行為の不安を凌駕するほど羽太を歓喜させていた。
「……羽太」
松田も羽太を抱き返し、くぐもる声で言ったきり、身動ぎひとつしなくなる。
また胸が重なった。打ちつける互いの鼓動が近くなる。汗の匂いが濃くなった。
羽太は体重をかけられて押し倒され、
のしかかる松田を抱き止めてやりながら確信する。
こうして素肌で抱き合って、まさぐり合ってキスをして、
身体のいちばん深い部分で繋がり合う。それが自分にはどうしても必要だ。
ここから先があるのなら、そこまで行きたい。松田となら。
羽太は飼い犬が主人の口を滅茶苦茶に舐め回すみたいにキスをされ、
くすぐったくなり押し退ける。

「お前が無理してるってわかったら、すぐ止める。つらそうだったら今日はしない。
それでいいか?」
「うん。……でも、きっと大丈夫」
「……えっ?」
「だって、松田さんとするんだから……」
囁きながら顔だけ横に向け、松田の頬にキスをする。
「羽太……」
背中を撫でた松田の声も切なげだ。
汗で湿った掌が羽太の双丘のあわいから窄みに触れ、指の腹でそこを擦る。
上下にゆったり、円を描くようにいやらしく。
「んっ……」
ついでのように会陰の辺りもくすぐられ、思わず尻を揺らしてしまう。
「可愛いな、羽太……」
「だって」
「この辺、好きか? 後でゆっくり舐めてやるよ」
「また、そういう変な事言う」
口では怒ってみせたものの、悪どく笑う松田もそんなに嫌いじゃない。
羽太は無意識に生唾を呑み込んだ。
初めのうちは互いの粘液を纏わせた指で。
羽太の内襞がゆるんでからは松田の逞しい剛直で、じりじり隘路を開かれる。
自分で膝の下に腕を入れ、両足を抱え上げている。

愛しいけれど、今は少し恐い方がまさっている松田のそれを、受け入れる。
しかもこんな、あられもない態勢で何もかもさらけ出している。
羞恥で火を噴きそうな顔を背け、ぎゅっと目を閉じているけど、
松田が息を詰めながら進める場所を探しているのが見なくてもわかる。
伝わるのだ。
松田も少し進めては動くのを止め、羽太に深呼吸を促した。

吸って、吐いての息を合わせ、無心になって松田に溶け込み、力を抜く。
松田も合わせようとしてくれる。
羽太は思い出していた。これは平家桜にほどこした根付ぎの時の感覚だ。  

「う……っ、あっ! ……いっ、ああっ!」
長大な雄芯が別の生き物のように侵入し、
松田が最後に腰を強く穿ちつけ、つけ根まで全て埋め込んだ。
その瞬間だけ羽太は顎を突き上げ、悲鳴じみた声を上げた。
「羽太っ!?」
松田がすぐさま身を乗り出して訊ねてきた。
羽太は間近に迫った松田の顔を掌で押し返し、同時に自分の顔も隠して、
「大丈夫」
だと、頷いた。
いくら繋がるためとはいえ、左右に開いた膝の間に男の胴を挟み込み、
真上から覗き込まれる態勢は脳が煮えるかと思うほど恥ずかしい。    

「……大丈夫。ちょっと腹の奥が重たい感じがしてるけど」
あとはひらすら恥ずかしいのと、
このあとは、どうしたらいいのかわからないという困惑だけ。
羽太は手の甲で顔を隠したまま、消え入りそうな声で告げた。

「そうか……」
松田がほっと息をつく。 
「ありがとう、羽太……」
甘美な低音で囁かれ、熱い耳朶を松田が食む。
「あっ、やっ……」
舌で耳殻をねっとり舐められ、ぞくりと肌が粟立った。
耳の後は舌でうなじを上下に舐めて唇を重ね、
「キスしろ、羽太」
と、睨まれながら凄まれる。
羽太は我儘なのに優しくて、繊細なのに横柄な恋人の首に腕を回し、
噛みつくように口づけた。
すぐに互いに舌を合わせ、絡めては離し、口の中をくすぐり合う。
その濃艶なキスの最中に、松田がごく浅い抽挿をゆっくりとくり返す。

「……痛くないか?」
「う……、ん」    
「これは? ……大丈夫か?」
恭しいほど気遣いながら、慎重な抜き差しをくり返す。
合間に不意に訪れるキス。
寄せては返す甘くてぬるい悦楽のさざ波が次第に高さを増していき、
突かれるたびに息が漏れる。

「んっ、ん、……」          
圧迫感が和らぐにつれ、ぬめった襞とその奥を剛直の先で擦られる事で、
未知の感覚が湧いて出る。
甘美に胸が騒めいて、もっと激しく突いて擦って欲しくなる。
横目でちらりと伺うと、、松田にも射るような目で見下ろされる。
けれど、もう恥ずかしいとも隠したいとも思わない。
むしろ蕩けたような声を出して乱れるこの顔を松田はもっと見たがって、
突き放したような目をしたまま、羽太の乳首も捏ね回す。
静かに昂ぶる松田が視界を横切ると、
浅ましいほど下肢が疼き、先走りの粘液で自分の軸を濡らしてしまう。
だから、穿たれるたびに声を張りあげ、喉を反らせて訴える。

腿の裏を掌で押さえられ、胸につくほど折り畳まれて苦しいのに、
いちばん感じてしまう箇所を探り当てられ、
松田がそこばかり突いてくる。抉るように、弾くようにいじられる。
剛直の先をそこに当てたまま、
腰をっゆっくり回された時は引きつるような声になる。



にほんブログ村
BL小説ブログランキング

ピクシブでは限りなくBLに寄せていますが、一般小説の歴史ものを書きました。戦国時代、織田信長の桶狭間の戦いは本当に奇襲だったのかが、テーマです。
ピクシブの【サドンデス】のページは→こちらから。
小説投稿サイト【 カクヨム 】でも、
『東京ラプソディ』という、昭和初期のカフェーを舞台にした、レトロなBLを書いています。
東京ラプソディの【 カクヨム 】ページは→ こちら から
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ホワイトナイト
総もくじ 3kaku_s_L.png ほんとのことを言ってくれ
総もくじ 3kaku_s_L.png 夜のギヤマン
総もくじ 3kaku_s_L.png 死か降伏か
総もくじ 3kaku_s_L.png 咲かない桜の桜守
総もくじ 3kaku_s_L.png 向かい風を行く
もくじ  3kaku_s_L.png 電子書籍関連
総もくじ  3kaku_s_L.png ホワイトナイト
総もくじ  3kaku_s_L.png ほんとのことを言ってくれ
総もくじ  3kaku_s_L.png 夜のギヤマン
総もくじ  3kaku_s_L.png 死か降伏か
総もくじ  3kaku_s_L.png 咲かない桜の桜守
総もくじ  3kaku_s_L.png 向かい風を行く
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【咲かない桜の桜守 47(R18)】へ  【咲かない桜の桜守 49(R18)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメン卜投稿不可です。
  • 【咲かない桜の桜守 47(R18)】へ
  • 【咲かない桜の桜守 49(R18)】へ