「死か降伏か」
第三章 LOSE-LOSE

死か降伏か 51

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事実、正午過ぎに御所に到着した壬生組に、あてがう役目は皆無だった。

未明の大砲で事態の異常に気がついた長州も、
藩隊を組んで堺町御門に集結した。本来、彼らが警備を任されていた御門である。
しかし、彼らが何をおいても真っ先に到着すると思われた堺町御門を固め、
待ち構えていたのは、国内最大の軍事力を誇る薩摩藩兵だった。

京都守護を仰せつかった会津藩ですらない。

壬生浪士組局長の近藤は、不測の事態に激昂した。
自分らとて会津藩主の命を受け、長州藩から御所を護るべく馳せ参じた親衛隊。
虚仮にするにも程がある。

にも関わらず、
御門の前で幕府の公使は極めてもったいぶって文書を開き、
朗々と読み上げた。
 
「追って御沙汰在らせられるまで屯所へ引き下がるべき候」
 
文字通り、門前払いという意味だ。
猛者揃いの隊士らが血相を変え、にわかに殺気立った時だった。
近藤や土方たちの背後から、旗印を掲げた一頭の早馬が土埃をあげて駆けて来た。

「御沙汰にございまする! 
薩摩藩士高崎左太郎公より、壬生浪士組への御沙汰にございまする!」

丸に十字の紋羽織を着た若い藩士は、
巻物を振りかざしながら下馬すると、近藤の前に進み出た。
 
「壬生浪士組はこれより後方警護の要として、御花畑御門おはなばたけごもんの固めに当たらたし候」

と、息せき切って読み上げた薩摩藩士が、
花印入りの通達書を再び巻き上げ、丁重に近藤に手渡した。
一方、下知された方の壬生組は藪から棒に通達されて毒気を抜かれ、
波が引くように静まった。
 
「御花畑?」
 
近藤は副長の土方に、知っているかと問いかけた。
広大な御所には大小様々な門があるものの、
後方警護の要だというからには、相応の知名度があってしかるべき門のはず。
だが、近藤は初めてその名を耳にした。

「御花畑?」
 
土方も同様に、傍らの沖田に拍子抜けしたように問い質す。
しかも、それがなぜ会津ではなく薩摩藩士の命なのか。




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