「ホワイトナイト」
第二章

ホワイトナイト11

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「利き酒会のことも、彦坂旅館も、この街道添いの観光産業のことも、敬司がコラムで紹介する話になったから。お前に敬司の案内役をやれって言ってるんだ」
「本当、ですか……?」
 望月との再会に動揺している最中に件の企画の採用を告げられ、思考回路が焼き切れたように頭の中が真っ白になる。陽介にはいかにも不本意そうに言われたものの、歓喜がじんわりこみあげてきて、息まで震え始めていた。

「……ほ、本当にうちでやらせてもらえるんですか?」
「しょうがねえだろ。他の旅館はインパクトに欠ける企画ばっかだったしな。それに、お前ん所の企画が一番ローコストでできそうだったんだよ」      
 猛がじわりと目を潤ませて訊ねると、陽介は慌てたように顔を赤らめ、そっぽを向いて言い足した。               
「……ああ。じゃあ、消去法ってことですか」
 なんだと言って唇を突き出し、猛はしゅんと項垂れた。たとえそれが陽介の本音だとしても、なにもわざわざ本人に言わなくてもと、胸の中で愚痴っていると、望月がくすくす笑って猛に告げる。

「利き酒会の当日には、街道添いの土産物屋や飲食店にも新酒を使った新商品を出してもらうようにするだとか。観光名所にスタンプを設置して、集めたスタンプの数に応じて彦坂旅館で景品出すとかさ。利き酒会の参加者が街全体に行き渡るような提案したのは彦坂旅館だけなんだって。そういう所もよく練ってあったと思うよ? 僕は」
 言いながら猛の肩に腕をまわした望月が、励ますようにぎゅっと肩口を握ってきた。そして同時に、濃厚な甘いフレグランスが鼻孔をくすぐり、猛をiいっそうドギマギさせる。
「あ……、ありがとうございます」
 陽介とは対極にある人懐こさと不思議な色気にあてられたように、耳まで熱くなっていた。




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