「ホワイトナイト」
最終章

ホワイトナイト最終話

 ←ホワイトナイト111 →決戦の14日~ホワイトナイト番外編(前編)~
「イリーナのケツに触ってたのは謝るよ。だけど、俺も人生の半分アメリカにいて、普通の日本人よりボディタッチに慣れてるからさ。その辺ちょっとは考慮して」
 やがて猛を胸から離し、陽介が額を突き合わせてくる。あやすように猛の鼻に口づけて、決まり悪げにはにかむと、陽介はその審判を目顔で促す。

「……だって、綾さんには絶対そんなことしないくせに」
 釈然としない胸の内を吐露する猛に眉をそびやかせ、陽介が馬鹿を言うなと反論した。
「綾さんのケツなんか撫でたら、どうなるかぐらいわかるだろう」
「じゃあ、懐いてくれてる親戚の女の子ならいいんですか!」
 結局スケベなだけじゃないのかと、猛はいつのまにか自身の尻に張りついていた陽介の手をはたき落とした。そのまま踵を返したものの、陽介の腕が胴に回され引き戻される。

「お前なあ。着物の時にボクサーパンツ履くなよなあ」
「はあっ? なに言ってんですか。やめて下さい! さっきから、もう」     
 頓狂に声を裏返し、猛はしつこく尻に手を伸ばす陽介の肩を突き退ける。それでも最後は長身の彼に抱き込まれ、メチャクチャに尻を揉みしだかれた。
「着物の時は男だって下着のラインが浮くんだよ。Tバックぐらい持ってねえのか。老舗旅館の主人のくせに」        
「持ってるわけないでしょう。そんな変態みたいなパンツ」
「しょうがねえなあ。じゃあ、俺が買ってやるよ。スゲエやつ」
「やめて下さい! 冗談じゃない」
「なんでだよ。褌みたいなもんじゃねえか」
「そんな気持ちの悪い下着なんて履きませんから」
「履いてくれよ。俺、好きなんだ。Tバックのケツ」
「だったら、自分で履いたらいいでしょう。僕は嫌です。絶対にイヤ」

「自分のケツなんか見たって嬉しくも何ともないだろう」
 不満げに尖らせた唇で、ついでのように頬にキスされ、猛は思わず目を剥いた。さっきからまるで犬か何かに飛びつかれ、顔中舐めまわされているかのようだ。それも、見た目はとびきり毛並みのいい血統書付きの大型犬だが、躾がまるでなってない。 
 肩を怒らせ、玄関の戸に猛が鍵を差し込むと、性懲りもなく肩口からまた顔を覗かせ、陽介が言う。             

「早く中に入れてくれよ。ずっと待ってて冷えきってるんだ」
 猛は無言で一瞥をくれ、うっとうしいと肘で腹を突いてやったが、寸での所でかわされる。いきり立って歯噛みしている猛にも超然と笑んでみせたあと、陽介は玄関先で地団駄踏んで焦れていた。    

 早く早くと急かされて、横目でじろりと睨みつけるも、猛はやがて陽介の前で引き戸をそっと開いてやった。 




にほんブログ村 BL小説
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ホワイトナイト
総もくじ 3kaku_s_L.png ほんとのことを言ってくれ
総もくじ 3kaku_s_L.png 夜のギヤマン
総もくじ 3kaku_s_L.png 死か降伏か
総もくじ 3kaku_s_L.png 咲かない桜の桜守
総もくじ 3kaku_s_L.png 向かい風を行く
もくじ  3kaku_s_L.png 電子書籍関連
総もくじ  3kaku_s_L.png ホワイトナイト
総もくじ  3kaku_s_L.png ほんとのことを言ってくれ
総もくじ  3kaku_s_L.png 夜のギヤマン
総もくじ  3kaku_s_L.png 死か降伏か
総もくじ  3kaku_s_L.png 咲かない桜の桜守
総もくじ  3kaku_s_L.png 向かい風を行く
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【ホワイトナイト111】へ  【決戦の14日~ホワイトナイト番外編(前編)~】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメン卜投稿不可です。
  • 【ホワイトナイト111】へ
  • 【決戦の14日~ホワイトナイト番外編(前編)~】へ