「ホワイトナイト」
最終章

ホワイトナイト104

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「……えっ?」
「ちなみに、猛君が初めて陽介さんの事務所に挨拶に来た時のこととか、今日は機嫌が悪かったとか初チューした時のこととか、全部聞いちゃってるから」
 綾は凍りついた猛の耳に顔を寄せ、からかうように囁いた。
「初、チュー……」
 もしかして、陽介と初めて居酒屋に呑みに行った夜のことだろうか。表情をなくした猛の首から頬にかけて、じわじわ赤みがさしていった。 
 けれど、どうしてそんなことまで綾に話をしたのだろう。 
 やっぱり陽介にとって綾は特別な存在で、自分は綾には到底かなわないのではないのかと、にわかに眉間を曇らせる。       
「どうして、そんなことまで綾さんに……」         
 猛がか細い声で訊ねると、                        
「だって、好きな子のことって誰かに話したくなるじゃない? 陽介さんも、毎日うちには猛君の話をしに来るようなものだったから」
 綾はシンクまわりの水滴を最後に布巾で拭い取り、おもむろに顔をあげて微笑んだ。

「だから、陽介さんは私が陽介さんが好きだなんて考えたこともなかったみたい。シカコでTOBの発表をして帰国してすぐ、陽介さんが猛君に会いに来たことがあったでしょう? あの時だって本当は帰郷する時間なんてなかったのに、陽介さんがどうしても帰るって聞かなくて大騒ぎだったの。結局、勝手に行方不明になっちゃうし」
 言いながら、伏し目に笑った耳元でダイヤのピアスが儚く揺れた。
「でも、私。絶対猛君に会いに行ったんだってわかってたから、後を追わずにいられなかったの。こんな時まで猛君が頭から離れないなんて、初めて陽介さんが許せなかった」
「綾さん……」




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