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【  2017年01月  】 

2016年と、これからと

未分類

2017.01.01 (Sun)

 あけまして、おめでとうございます。唐突にサイトを再開したにも関わらず、たくさんの方にご訪問いただき、感謝の気持ちでいっぱいです。毎日、ありがとうございます。2016年。慣れない山の中で遭難して、焦って歩き回って、さらに山の奥に入り込んでしまうみたいな、迷走しっぱなしの一年でした。頭ひとつ突き抜けるだけの才能もないのにこのまま書いていて結果が出せるんだろうかとか。焦りと迷い。不安。苛立ち。不安だから...全文を読む

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死か降伏か 10

第一章 OBEY

2017.01.02 (Mon)

 負傷した壬生浪隊士が運ばれている療養所の門を土方(ひじかた)がくぐると、玄関先で待ち構えていた沖田が沈痛な面持ちで駆けてきた。「土方さん、あの……」「話は後だ。とにかく怪我人の状態が見たい」すがるように口を開いた沖田を遮り、土方は草履を脱いだ。動揺している沖田を脇に押しのけて、廊下から奥の間に向かう間にも、苦痛に喘ぐ男達の呻き声がもれ聞こえている。「負傷者は何名だ?」「はい、今の時点で六名です」「死...全文を読む

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死か降伏か 11

第一章 OBEY

2017.01.03 (Tue)

 「水戸藩附家老(ふかろう)久藤家の三男です。七歳で(注1)水戸藩校(はんこう)に入塾する以前より、その美貌と聡明さで広く知られていたようです。藩校で教鞭をとっていた水戸学(みとがく)者に推挙され、将軍後見職の徳川慶喜(とくがわよしのぶ)様の小姓として昨年まで、お仕え申し上げておられたとのこと」「慶喜公の小姓だったのか……」土方は拳を顎に当てながら、唸るように呟いた。「慶喜様も、お生まれは水戸藩でした...全文を読む

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死か降伏か 12

第一章 OBEY

2017.01.04 (Wed)

 「あれで、十五……」「何だ? 総司」土方が肩越しに振り返り、ギロリと横目で睨んできた。「いえ、……すみません。まさか、まだそんなに若いだなんて」「お前と互角にやりあったらしいじゃねえか。十五と聞けば心外だろう」失笑混じりに皮肉を言われ、沖田は拳を握り込んだ。土方の物言いに腹が立ったわけではない。互角にやりあったなどと口が裂けても言えないことは、自分がいちばんわかっていた。あの時、蔦屋が仲裁に入って来な...全文を読む

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死か降伏か 13

第一章 OBEY

2017.01.05 (Thu)

 「わかりました」 苦々しげに目を伏せて、沖田は身を翻して縁(えん)に出る。縁に面した中庭には、蔦屋に斬られた隊士の腕や足などがゴミのように盥(たらい)に積まれ、無造作に放置されていた。いったい我が身と隊に何が起きたというのだろうか。あまりのことに言葉を失い、唇だけを喘がせていると、質素な茅葺(かや)の裏門から隊士の宮迫(みやさこ)が現れた。「宮迫さん! 宮迫さんは確か蘭語がおわかりでしたよね?」 ...全文を読む

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死か降伏か 14

第一章 OBEY

2017.01.06 (Fri)

 「お前が蔦屋にとって特別ってのは、どういう意味だ」「わかりません。私は面識もありませんし」 こもった声で呟きつつ、右手の親指の爪を噛む沖田の手首を土方が掴んだ。「悪い癖だ。早く直せと言ってるだろ」「わかっています」言いながら、沖田は左手の親指の爪を虚ろな目をして噛み続けている。顎の細い優美な輪郭の顔に、奥二重の涼しげな目元。鼻はすっきりと高く、唇も上下ともに薄かった。そんな沖田が思案げに眉をひそめ...全文を読む

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死か降伏か 15

第一章 OBEY

2017.01.07 (Sat)

 「歴とした水戸藩附家老(ふかろう)久藤家の若殿様は」千尋は牢屋敷の獄舎(ごくしゃ)の壁にもたれかかり、立てた片膝に肘を預けたまま、嘲笑混じりにうそぶいた。「蔦屋を兄とも師とも健気に慕う者らしい」「千尋さん」書卓に向かっていた佑輔が居直って、開いた本を閉じて言う。「嘘も方便というものです。本気にしてもらっては困ります」 いかにも不本意言わんとばかりに眉を寄せ、からかう千尋に反論した。それでも千尋は噛...全文を読む

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死か降伏か 16

第一章 OBEY

2017.01.08 (Sun)

 寝転がる千尋を団扇でゆるく扇ぎながら、佑輔は細いうなじに浮いた傷にそっと触れた。壬生浪士組でも秀でて剣の腕が立つという、あの沖田とかいう男がつけた傷だった。夜目にも白い、絹のような肌理の肌。触れた指から流れ込んでくるような、千尋の身体の温かさ。佑輔は、にわかに逸る胸の鼓動を押し殺しながら囁いた。「痛くありませんか……?」「たいした傷しゃねえよ、こんなのは」「……千尋さんの詮議は、どうなるんでしょう。京...全文を読む

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死か降伏か 17

第一章 OBEY

2017.01.09 (Mon)

 出自(しゅつじ)も気質も何もかも違うふたりが、互いの体温だけを頼りにして、寒空の路傍(ろぼう)で寄り添って生きる野良猫に見える。翌朝、堤永嗣(つつみながつぐ)は牢屋敷の一角にある揚座敷の廊下を進み、部屋の襖を開けた刹那、はっとして立ちすくみ、中に入ることもできずにいた。蚊帳の中の、ひとつの布団で夏掛けの薄物一枚を身体に掛け、額を合わせた千尋と佑輔が、手足を丸めて眠っている。獣のように用心深い千尋だ...全文を読む

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死か降伏か 18

第一章 OBEY

2017.01.10 (Tue)

 「この鼻を、この鼻をへし折ってやる!」堤は、鴨居に両手を掛けてぶら下がる千尋の鼻の頭を鷲掴みにして、ひねりあげた。千尋も子供のようにわめきたて、堤の肩を押し戻そうと悶絶する。そうして座敷の内と外とで掴みあう二人の男の喧騒に、ようやく佑輔も目を覚まし、呆れたような声を出した。「……堤先生」佑輔は布団の上で茫然として問いかける。しかし、堤は肉感的な唇を硬く『への字』に引き結び、ずかずか座敷に入ってきた。...全文を読む

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プロフィール

坂東蚕

Author:坂東蚕
BL小説書き。
小説ディアプラス第27回チャレンジスクール編集部期待作・第1回BL小説大賞編集部期待作受賞。
お仕事ものや、和風、明治大正昭和レトロなBL好き。

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