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【  2015年12月  】 

【 夜のギヤマン 】あらすじ

夜のギヤマン

2015.12.19 (Sat)

 氷問屋の跡継ぎ息子の神谷(かみや)はある日、銀座でバーテンダーをしている鬼島匠(きじまたくみ)に、本来透明な氷作りには向かない硬水で、透明な氷を作ってくれと頼まれる。しかし、鬼島は銀座のバーテンダーというよりは、ヤクザのようなチンピラで・・・・。...全文を読む

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夜のギヤマン1

第一章

2015.12.19 (Sat)

 鬼島匠(きじまたくみ)が氷を一個口に含んで舌で転がし、続いて歯で割る細かな音がバーの厨房に響き渡る。 この瞬間を一番苦手にしている神谷旭(かみやあさひ)は僅かに眉をしかめさせた。  隅々までモップをかけたタイル張りの清潔な床。 一方の壁にはステンレスの冷蔵庫が並び、反対側にはシンクやガスコンロが並ぶ厨房で鬼島は作業台にもたれかかり、腕組みしたまま氷をゆっくり舐め溶かしている。神谷が強ばる肩を上下さ...全文を読む

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夜のギヤマン2

第一章

2015.12.19 (Sat)

 「はあっ?」 当然のように、神谷は声を上擦らせた。シロップ抜きのただの氷を全種類注文する客の意図がつかめず唖然とすると、「つべこべ言わずにさっさと出せや」  と、急かされる。仕方なく、七種類ある天然氷をすべて削って男に渡し、ちらりと男を窺い見る。  そうして改めて二人に訊ねれば、男はバーの経営者兼バーテンダーだと言い、店で出す洋酒の個性にあった天然氷を仕入れたいと思っていたと打ち明けられる。  結...全文を読む

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夜のギヤマン3

第一章

2015.12.19 (Sat)

 「なんでわしが負けなんじゃ」      「だって鬼島さん。自分で注文しておいて、硬水で透明な氷作るなんてやっぱ無理だろみたいな言い方してたじゃないですか。ずっと喧嘩売ってたのは、鬼島さんの方ですよ?」 ようやく先が見えた安堵も手伝い、神谷がさらに鬼島を煽ると、二人の間に慌てて堤が割って入った。「まあ、お前も神谷君が頑張ってくれたお陰で、やっと念願の硬水ロックが出せるんだろう?ちゃんと感謝しとけよ?...全文を読む

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夜のギヤマン4

第二章

2015.12.19 (Sat)

 しかし、いくら取引先でも二十四歳の自分には銀座のバーは敷居が高い。かき氷の移動販売ワゴン車の中で開店準備を始めつつ、神谷は軽いため息を吐く。  大学卒業と同時に父親が経営する製氷会社の専務に収まってしまい、社会経験はゼロに等しい。 ましてや自分の周囲に銀座のバーに通うような粋な大人は一人もいない。苦労して作った硬水氷で鬼島自慢の水割りを味わいたいのはやまやまだったが、気後れしたまま既に三日経ってい...全文を読む

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夜のギヤマン5

第二章

2015.12.19 (Sat)

 「えっ?ああ。……あっ、はい。予約してなかったんですけど、いいですか?」    「もちろんですよ。どうぞ、お席へ」 にこやかな堤にカウンターへと導かれ、恩田と並んで革のスツールに腰をかける。 けれども神谷は目の前に鬼島がいると思っただけで鼓動が速まり、顔まで熱くなってくる。こんなに異様にドキドキするのは、不慣れな場所で鬼島に会ったせいなのだろうか。神谷が視線を泳がせていると、湯気のあがったおしぼりが...全文を読む

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夜のギヤマン6

第二章

2015.12.19 (Sat)

 けれども、恩田は堤と話がしたいに違いない。隣をそっと窺い見た時、恩田がふいに身を乗り出させて鬼島に訊ねる。「このオイルサーディン。ハーブが効いてて美味しいですね」            「ええ、そうなんですよ。よくわかりましたね。実は柑橘系のダイキリのベースにもスプリングバンクの風味にも合うように、ハーブを一緒に漬けてるんです」「じゃあ、マスターのお手製なんですか?」「ええ。うちで出してるフードは...全文を読む

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夜のギヤマン7

第二章

2015.12.19 (Sat)

 「それから、私。昨日大きな本棚買ったんだけど。組み立てるのとか手伝ってぇ。私一人じゃ絶対無理ィ」 と、あからさまに自宅に誘う彼女の頼みも快諾し、訪ねる日時の約束もその場ですぐに交わしていた。 一人暮らしの女の家へ行く事に何の躊躇も見せない鬼島の態度は恋人同志のそれでしかない。やはり、この押しの強いスーツの女が鬼島の恋人なのだろうと、神谷はしゅんと肩を落とした。 それにしても、今まで気にも止めずにい...全文を読む

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夜のギヤマン8

第三章

2015.12.19 (Sat)

 幸い硬水氷の試作も終えて、鬼島のバーに氷を収める役割も会社の社員に引き継いでいる。 もしかしたら、もうこのまま会う事もなくなるのかと思い始めた頃だった。寺の朝市にカキ氷の移動販売車を出し、屋台が並ぶ参道でチラシ配りをしていた神谷は、「何だ、何しとるんや。神谷じゃねえか」  という、武骨な広島弁で呼び止められる。反射的に足を止め、周囲に顔を巡らせていると、『みたらし団子』の暖簾のかかった屋台の中で鬼...全文を読む

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夜のギヤマン9

第三章

2015.12.19 (Sat)

 「でも、私。この前、鬼島さんにふられたんです……」 切なげに眉を寄せた恩田が言うには、あれから何度か友達を連れて鬼島のバーにも通ったのだが、接客以上の反応はなし。 思いきって自宅に誘い、料理の手ほどきを頼んだものの、店を始める以前からの友人ではない店の客とは会えないなどと言われたらしい。「そうだったんだ。……ごめんね。余計なこと言って」      神谷は頭を下げて詫びながら、鬼島の意外な反応に心はさざ...全文を読む

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プロフィール

坂東蚕

Author:坂東蚕
BL小説書き。
小説ディアプラス第27回チャレンジスクール編集部期待作・第1回BL小説大賞編集部期待作受賞。
お仕事ものや、和風、明治大正昭和レトロなBL好き。

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