更新履歴

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので、久しぶりのご訪問の方はこちらで未読・既読のご確認ができます

日付別の更新チェックはカレンダーの日付をクリック ▼

2015 11123456789101112131415161718192021222324252627282930312016 01

【  2015年12月  】 

夜のギヤマン10

第四章

2015.12.19 (Sat)

 そうして『一人で来い』と言われた通り、恐々始めたバー通いだった。けれども鬼島は相変わらず女性客から声をかけられ、相談相手になり続けている。「男の人が忙しいから会えないって、絶対嘘だよね?だって、今までだったら忙しくたって時間作ってくれたのに……」 鬼島に向かってくだを巻き、ハーフのように目鼻立ちのはっきりとした九頭身美女。 つけ睫毛とアイラインで強調された気の強そうな目。 グラマラスなピンクの唇。大...全文を読む

PageTop▲

夜のギヤマン11

第四章

2015.12.19 (Sat)

 それからというもの、堅かった殻の一部が破れかかっているような不安に揺らぐ自分自身をいつもどこかで感じていた。 危なっかしいと言われた事で本当に危うくなってしまった気がした。  そのせいなのか、鬼島からシェリー酒メーカー主催だというパーティに誘われ、ホテルの高層階ホールで落ちあった時も、エレベーターを降り立つ彼をひと目見るなり安堵を覚える。「おう。待たせてすまんかったの」 片手を挙げて足を早めた鬼島...全文を読む

PageTop▲

夜のギヤマン14

第四章

2015.12.19 (Sat)

 それはまったく悪気の感じられない好意に満ちたひと言だった。けれどもそんな邪気のない鬼島の言葉が神谷の心を凍りつかせる。「……そ、うですね。はい。ありがとうございます」 咄嗟にぎこちなく頷いたものの、神谷は責めるようにじっと鬼島を凝視した。  もちろん彼は自分のために善かれと思って言ったのだろう。 それでも硬水氷は自分と鬼島で時に意見を戦わせ、苦心の末に作りあげた二人の作品なんだと思っていた。 それを...全文を読む

PageTop▲

夜のギヤマン13

第四章

2015.12.19 (Sat)

  前に恩田が鬼島の事を狡いと言って憤り、涙ぐんでいた事を神谷は朧に思い浮かべる。  確かに分け隔てなく皆に優しい鬼島といると、結局誰も彼にとっては特別ではない。そんな事まで骨身にしみるようだった。 それを鬼島の狡猾さだとは思わなかったが、いじけたくなる気持ちはよくわかる。神谷が伏し目に苦い笑いを浮かべていると、ぽんと肩を叩かれた。「じゃあ、神谷さん。これ、領収証です」 皺深い目元を優しくゆるめ、茶...全文を読む

PageTop▲

夜のギヤマン14

第四章

2015.12.19 (Sat)

 「……なんや。神谷か」         神谷はわざと、よそよそしいほど堅い口調で名前を言った。しかし、どうしたんだと気さくに続けた鬼島の返事にノイズが混じる。いつになく声も遠く感じる気がして思わず訊ねた。  「今、どこにいるんですか?」「今か?……今は岩手じゃ。山ん中のホテルにおるけん。聞き取りにくいか?わしの声」   「いえ、大丈夫ですけど。岩手なんてどうされたんです?夏休みですか?」「いや。ちぃと...全文を読む

PageTop▲

夜のギヤマン15

第五章

2015.12.19 (Sat)

  よりにもよって鬼島に初めて相談したいと思った事が、「男を好きになってしまった」話になるなんて。  神谷はうつむき、強ばる頬を自嘲で歪める。   このまま鬼島と距離を置けば、こんな気持ちは「いっときの迷い」で消えていってくれるのだろうか。こんな風にどうするべきかで思い惑う経験自体が初めてだった。  これまで自分で答えを出せない事なんてほとんどなかったはずなのに。 神谷は翌朝、鈍い頭痛を覚えながら、...全文を読む

PageTop▲

夜のギヤマン16

第五章

2015.12.19 (Sat)

 「……どうして駄目になっちゃったんだろ。彼だって私と結婚するって言ってたのに」 暗にフリーになった事を匂わせながらこぼす愚痴も以前と同じ。 小耳に挟んでいるだけでうんざりするような泣き言だったが、耳を傾けている鬼島は紳士で真剣だ。 もしもこの前自分も鬼島に会えていたら、やっぱりあんな風に真摯に向き合ってくれたのだろうか。けれどもその眼差しの熱量は、こうして目の前にいる女に向けた熱量とどれほど違ってい...全文を読む

PageTop▲

夜のギヤマン17

第五章

2015.12.19 (Sat)

 それからすぐに到着した救急車で、神谷は救急外来へと搬送された。 念のためにCTスキャンや脳波の検査も行なわれたが異常は診られず、腕の傷の治療が終わると診察室を送り出される。「神谷……っ」 診察室の正面で待ち構えてでもいたかのように鬼島がすぐに駆け寄ってくる。「鬼島さん……」「どうだった?腕の傷は」「四針縫いましたけど大丈夫です。もともとかすっただけだったんで、傷自体はそんなに深くなかったみたいで」 神...全文を読む

PageTop▲

夜のギヤマン18

第五章

2015.12.19 (Sat)

 歩き始めた鬼島と並んで病院の自動ドアを通り抜ける。鬼島は玄関前のタクシー乗り場で足を止めたが、神谷は首を左右に振った。「良かったら歩きませんか?ここから僕のマンションまでなら割りと近いですし」「……えっ?じゃけんど」「いろいろあって少し混乱してますし。歩いて気分を変えたいっていうか……」   鬼島は神谷を気遣い躊躇をみせたが、神谷は押し切り、駐車場から大通りへ出る。左右の舗道は帰宅を急ぐ人々で溢れ、行...全文を読む

PageTop▲

夜のギヤマン19

第五章

2015.12.19 (Sat)

 「おい、どないしたんや。急に」      と、慌てて鬼島も足を速める。それでも神谷は答えないまま石畳のアプローチを走り抜け、共有玄関を背にして鬼島を振り向いた。「……なんや、急に恐い顔して」 軽く息を弾ませながら、追いついてきた鬼島が眉をひそめて言った。「……鬼島さん」「だから、なんやて聞いちょるじゃろう」「今日は僕んち、泊まっていきませんか」「……えっ?」 「男の一人暮しなんで汚いですけど」  神谷は...全文を読む

PageTop▲

前月     2015年12月   ««    翌月

Menu

プロフィール

坂東蚕

Author:坂東蚕
BL小説書き。
小説ディアプラス第27回チャレンジスクール編集部期待作・第1回BL小説大賞編集部期待作受賞。
お仕事ものや、和風、明治大正昭和レトロなBL好き。

坂東蚕の電子書籍


【極道紳士と気まぐれ仔猫】ご購入はこちらから

【恋文代筆承ります】ご購入はこちらから

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事