更新履歴

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので、久しぶりのご訪問の方はこちらで未読・既読のご確認ができます

日付別の更新チェックはカレンダーの日付をクリック ▼

2015 101234567891011121314151617181920212223242526272829302015 12

【  2015年11月  】 

【 ほんとのことを言ってくれ 】 あらすじ

ほんとのことを言ってくれ

2015.11.18 (Wed)

 向坂数馬(こうさかかずま)は病床の父親の跡を継ぎ、急遽居酒屋『向坂』の店主となった。十八歳から三年間、父親とともに厨房に入り、板前修業を積んだとはいえ二十一歳の若さでは、さすがに不安は隠せない。そんな数馬を常連客の野村と、バイト学生の池内が競うようにフォローして・・・・。...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ1

第一章

2015.11.18 (Wed)

  昭和の風情をそのまま残した裏路地の一角で、数馬の父は小さな居酒屋を営んでいる。 電車や車の騒音が遠くに聞こえる横丁は、左右に木造長屋や個人商店が軒を列ね、細路地に濃い影を落としていた。 宵闇が深まるにつれて、点々と灯され始める赤提灯と箱看板。電照の白い明かりで眩しく照らし出される『マキ』や『順子』のスナックの文字。数馬はそんなスナックや焼き鳥屋に隣接する父の店の引き戸に貼られた『臨時休業』の紙を...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ2

第一章

2015.11.18 (Wed)

 「今晩は。ちょっと早いけど、いいかな」  と、端正な顔立ちに温和な笑みを浮かべた男が優しく窺いをたててくる。 均整のとれた中背の体躯にグレーのスーツ、ブルーのストライプシャツにラベンダーのネクタイをあわせていた。軽く撫でつけた黒髪と、華奢な眼鏡が品と知性を同時に醸し出している。「久しぶりだね。うちに来るのは一ヵ月ぶりぐらいだっけ?」             飛びつかんばかりの勢いで駆けつけた数馬が...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ3

第一章

2015.11.18 (Wed)

 「あっ、……と。それは今日から突出しに使おうと思ってて」 数馬は視界の端に憮然としている池内を捉え、気になりながらも咄嗟に用途を説明する。 これまで煮物の小鉢で出してきた突出しを、漬けの魚の炭火焼きに変更したのだ。つまり、客毎またはグループ毎に一人用の七輪を出し、魚を各々炙り焼きながら注文の品を待ってもらうスタイルだ。「板前が僕一人だと、どうしても料理を出すのに時間がかかるだろう?その間、手持ち無沙...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ4

第一章

2015.11.18 (Wed)

  再開初日を無事に終えて、数馬が木造二階屋の自宅に戻ると、父の哲也が居間から出てきた。板前らしい白髪混じりの角刈りが似合う四角い顔に、はにかむような笑みをのぼらせ、            「お帰り」     と、深夜に戻った息子を労う。「なに?寝てればいいって言ったのに」 玄関から伸びる板間の廊下に居間の灯りとテレビの音がもれている。慌てて居間に駆け込んでみれば、哲也が杖をつきつつ応接セットのソフ...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ5

第一章

2015.11.18 (Wed)

 「でも、なんで急に俺なんか誘ってくれたんですか?」 しかもペアでホテルディナーでしょうと、池内は数馬に一瞥をくれ、胡散臭げに眉をひそめる。 しかし、老舗ホテルのダイニングだと告げてあったせいなのか、今日はいつものTシャツではなく、グレーのジャケットに黒のパンツと革靴という小綺麗な出でたちだ。長めの黒髪をセットして、額を出した池内を見ると、改めてイケメンなんだと知らされる。「だって、この前失礼なこと...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ6

第一章

2015.11.18 (Wed)

 小さな頭。まっすぐに伸びた背筋の品格。 やや撫で肩の優しげな風情。ベージュのスーツに白いシャツとシュガーピンクのネクタイを合わせ、シルクのチーフで顔廻りを華やかに演出したスタイルは、ビジネスマンで溢れた二階のロビーでもひと際人目を引いていた。 そして、思いがけなく目にした野村の傍らには、ラベンダーのシフォンワンピースを着た若い女性。 内巻きシルエットのミディアムボブが優しげで、遠目に見てもほっそり...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ7

第二章

2015.11.18 (Wed)

 だが、考えてみれば野村に恋人がいた事に驚く方がどうかしている。 数馬は開店直後の『向坂』の厨房で、通しの小鉢を盛りながら、自嘲とも苦笑ともつかない笑みで頬を歪めた。高学歴でイケメンで外資系の商社勤めで高収入。それでいて気さくで優しいのだから、彼女がいないわけがない。  「……だよねえ。やっぱり」 まるで自分に言って聞かせるようにひとりごち、胸の底から深々と重い息を吐く。けれど、厨房に姿を見せた池内に...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ8

第二章

2015.11.18 (Wed)

 「大丈夫ですか? なんか具合悪そうですけど」   池内は俯きがちに戻った数馬を厨房の出入り口まで迎えに来る。数馬は口元だけで薄く微笑み、溜り始めた注文票を手に取った。「ごめんね。ちょっと目眩がしたから休んでたんだ。立ち眩みかな」 でも大丈夫だと、気遣わしげな池内を遮り、再び調理にとりかかる。しかし、カウンターに身を乗り出させた野村にも怪訝そうに声をかけられ、数馬は肩を強ばらせた。「なんだ、数馬。お...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ9

第二章

2015.11.18 (Wed)

 「大丈夫。俺も綺麗な女の子達と呑めた方が嬉しいし」 一瞬、鼓動を跳ねあがらせた数馬の顔色を読んだように、野村が数馬をとりなした。また、数馬とは別の意味で落ち着きをなくした二人組の女性客は、互いに顔を見合わせた後、隣の野村にすり寄った。「あの。じゃあ、良ければいろいろ教えてもらっていいですか?」「いいですよ。僕もそんなに詳しいわけじゃないですけれど」「弘君、だけど」 溌剌としたショートヘアの女性客が...全文を読む

PageTop▲

前月     2015年11月       翌月

Menu

プロフィール

坂東蚕

Author:坂東蚕
BL小説書き。
小説ディアプラス第27回チャレンジスクール編集部期待作・第1回BL小説大賞編集部期待作受賞。
お仕事ものや、和風、明治大正昭和レトロなBL好き。

坂東蚕の電子書籍


【極道紳士と気まぐれ仔猫】ご購入はこちらから

【恋文代筆承ります】ご購入はこちらから

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事