更新履歴

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので、久しぶりのご訪問の方はこちらで未読・既読のご確認ができます

日付別の更新チェックはカレンダーの日付をクリック ▼

2015 101234567891011121314151617181920212223242526272829302015 12

【  2015年11月  】 

ほんとのことを言ってくれ10

第二章

2015.11.18 (Wed)

 「池内君、ありがとう。やっぱり池内君に言われた通りにしてみて良かったかも」 数馬は厨房に戻った池内に、さっそく笑顔で礼を述べた。 バイトに入ってまだ三週間の新人さんだと思っていたのに、春日の手土産の事といい、気づけばこちらがフォローされている。こんなに頼もしい相棒がすぐ傍にいる事を気づかされ、数馬は覚えず相好を崩した。「そうですか?俺も焦ってたんで助かりました。もう少し落ち着いてきたら、また入って...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ11

第二章

2015.11.18 (Wed)

 「じゃあ、後でお礼のメールをしたいんで、アドレス教えてもらえませんか?」 二人組みの女の方は野村に未練があるらしく、席に戻ってそれぞれ手荷物を抱え持ち、野村を追って店を出た。 そんなレジの前でのひと悶着を店の客も池内も横目で追って見ていたが、数馬は決然として背を向ける。 ホテルで野村を見て以来、一方的にイライラしたりがっかりしたり、ショックを受けてばかりいた。自分の気分の乱高下に自分自身で疲れ果て...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ12

第二章

2015.11.18 (Wed)

  それでも、野村のせっかくの気遣いを自分の一存で無碍にはできない。数馬は店主の父にも野村に貰ったリストを見せた。    「そうか。……弘君がこんな事まで」 哲也は居間のソファに浅く腰かけ、じっとリストに見入っている。数馬はその傍らのテーブルにお茶を入れたカップを置いた。そして、まだ右手には麻痺が残る父の為に介護用のストローを差し入れる。「はい、父さん。ぬるめに入れてあるけど気をつけて」 数馬が父に左...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ13

第二章

2015.11.18 (Wed)

  「……そうですか。もう、大将は引退されちゃうんですね。残念ですけど」    その日の閉店後、数馬が父の決意を池内に告げると、池内は肩を落として目を伏せた。 客席は既に片付けも済ませ、明かりもすべて落としてある。二人で賄いを囲む厨房だけが薄暗い店内で煌々と白く浮きたっていた。「本当は僕もわかってたんだけどね。父さんは完璧主義の所があるから、いくらリハビリしたって元通りに仕事ができるわけじゃないんなら...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ14

第二章

2015.11.18 (Wed)

  結局、何も話せないまま数日経とうとしていた頃に、野村の方から姿を見せた。「今晩は」 いつものように一人で暖簾をくぐった野村が厨房内の数馬に目を止め、淡く微笑んだ。 出入口の戸が開く音で顔を上げた数馬は咄嗟に二度見し、ギクリと肩を強ばらせる。 グレーのスーツにブルーのストライプシャツ、ベージュと白のストタイプ柄のネクタイを合わせた春らしい装いの野村の後から、春日も店に入ってくる。「さっき、店の前で...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ15

第二章

2015.11.18 (Wed)

 「でも」「春日さんには俺が話をしてくるから」 それでも一瞬ためらいを見せる数馬に、野村は語気を強めて言い伏せる。同時に数馬を脇に寄せ、自分の鞄とスーツの上着をひと抱えにして出て行った。春日と野村が怒涛のように去っていくと、息をひそめてこちらを窺う客の視線が数馬を無言で責めたてる。「お騒がせして申し訳ございませんでした。すぐ、ご注文の調理にかかりますので、もう少しお待ち下さい」 数馬は店の客に頭を下...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ16

第二章

2015.11.18 (Wed)

 「弘君……」「悪いけど、池内君。これから数馬と二人で話したいんだ。先に帰ってもらえないかな」 野村が肩で息をしながら、数馬を脇へ押しやった。その有無を言わさぬ強い口調に、池内は面食らったように瞬きをして数馬を振り向く。              「……でも、まだ店の片付けが」 池内は当惑顔で言いよどみ、数馬と野村を交互に眺める。慌てて数馬が間に割り入り、いきりたつ野村を宥めるために指示をした。「あっ、...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ17

第二章

2015.11.18 (Wed)

 「……弘君。それで、あの、春日さんは」   と、用意しかけた鍋を片付け、手近な布巾を洗って絞る。目も合わせずに忙しなく訊ねる数馬に、野村は乾いた口調で述べたてた。「春日さんは大将から数馬に代替りして、『向坂』がだんだん変わっていくのが寂しいって言っていた。春日さんとはあれから別の店に呑みにいって話をしたけど、最後はお前に謝ってたよ。いきなり怒鳴って悪い事したって」「そう、か。……やっぱりそうなんだ」 ...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ18

第三章

2015.11.18 (Wed)

 「それでですね。うちで扱っている焼酎の中でもレアな銘柄というと……」     と、酒の卸問屋の専務が鞄から出したプリントを四人掛けのテーブルに恭しく置いた。 彼の正面に並んで腰かけていた数馬と池内は、それぞれ手にしたプリントに素早く視線を走らせる。 営業前の向坂で窓際のテーブル席を囲む三人が口を噤んで俯くと、店の表の細路地を下校していく小学生のおしゃべりが雀のさえずりのように軽やかに耳に響いた。 「…...全文を読む

PageTop▲

ほんとのことを言ってくれ19

第三章

2015.11.18 (Wed)

 「……で、でも、弘君は別にうちの店の人間じゃないし、そこまで当てにできないよ」 叱りつけるように語気を強める池内は、まるで野村を避ける本当の理由を見透かしてでもいるかのようだ。数馬は後ろめたさを覚えながら、空笑いして顔を背けた。 そもそも野村はあの日以来店に顔を見せてはいないし、電話もメールも一切なかった。こちらに一方的に距離を置かれ、野村が怒っているのは明らかだった。「弘君もきっと忙しいだろうし、...全文を読む

PageTop▲

前月     2015年11月   ««    翌月

Menu

プロフィール

坂東蚕

Author:坂東蚕
BL小説書き。
小説ディアプラス第27回チャレンジスクール編集部期待作・第1回BL小説大賞編集部期待作受賞。
お仕事ものや、和風、明治大正昭和レトロなBL好き。

坂東蚕の電子書籍


【極道紳士と気まぐれ仔猫】ご購入はこちらから

【恋文代筆承ります】ご購入はこちらから

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事