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【  2015年10月  】 

ホワイトナイト32

第三章

2015.10.02 (Fri)

  どんな美人に言い寄られても、結局綾の所に戻っていくのだ。        猛は鉛を胸に押し込まれたような胸苦しさを覚えながら、俯きがちに門をくぐった。足元を照らす常夜灯に導かれながら敷石を踏み、敷地内の西棟にある自宅に向かった。 自分に対して最初から横柄だった陽介が、誰に対しても歯に衣着せぬ苦言を呈し、高飛車なのだということを今日は思い知らされた。              陽介にとって、自分が特...全文を読む

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ホワイトナイト33

第三章

2015.10.02 (Fri)

  別棟の住居棟から本館に続く敷石道にカエデの落葉が降りこぼれている。 棟の広縁近くに池を設け、その背景に使われた落葉樹の植え込みと大小の庭石。築山に滝をかけた書院庭園を眺める余裕もないままに、猛は紺のスーツにネクタイ姿で足を速める。  今朝は珍しく寝過ごしてしまい、七時半の出勤時間ギリギリだった。  寝呆け眼にしみる朝日に顔をしかめ、肩で息を吐いていると、軽やかな革の靴音が前方から近づいてくる。「...全文を読む

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ホワイトナイト34

第三章

2015.10.02 (Fri)

 「……そんなことより今日お前、暇?」 こちらが就寝するのを確かめてから帰ったことを吐露してしまったバツの悪さを顔ににじませ、陽介がぶっきらぼうに聞いてくる。「だから、別に暇じゃありませんけど何ですか?」 「綾さんが新酒を使った新メニュー、考えたから試食してくれって」         「わかりました。今日はお昼頃なら大丈夫です」   「じゃあ、十二時に綾さんとこな」       陽介は猛の肩を軽くはた...全文を読む

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ホワイトナイト35

第四章

2015.10.02 (Fri)

 来年二月に彦坂旅館で開催される利き酒会に合わせる形で、街道添いの様々な店が新酒を使った新商品の開発にいそしんでいた。 そんな新酒を用いた新メニューのひとつとして、綾が考案したのは酒粕とゴルゴンゾーラのチーズパスタ。 綾は店の二階のカフェスペースで猛と陽介にふるまうと、二人と同じテーブルについた。今日の綾はクロップド丈のジーンズに開襟シャツとニットを合わせたカジュアルな装いながら、襟元に覗くダイヤの...全文を読む

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ホワイトナイト36

第四章

2015.10.02 (Fri)

 「どうしたの? 旅館の方に何かあった?」 昼休みの時間とはいえ、持ち場を離れて呼び出しに来るなどなかったことだ。猛は瞠目したまま腰を浮かせた。しかし、房子は猛の問いには答えずに、よろめくように三人の前に進み出た。           「山岸さんは猛さんが帰ってくるまで待ってろって、言うんですけど……」        「いいよ、そんなの。急ぎの用なら構わないから」    猛は房子に歩み寄り、店の外へと...全文を読む

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ホワイトナイト37

第四章

2015.10.02 (Fri)

 「陽介さん……」 猛は思わず縋るように振り向いた。 すると、陽介は既に携帯電話を耳にあて、声をひそめて話をしている。そして、気がつくと綾が房子を宥めて椅子に座らせ、優しく声をかけていた。「今、お茶を入れますからね。お昼ご飯は済まされました? 何かご用意しましょうか?」「すみません、綾さん。お騒がせして」「いいのよ。今日は定休日だし。私の事は気にしないで」 猛は泣き咽んでいる房子に代わって綾に謝罪し、...全文を読む

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ホワイトナイト38

第四章

2015.10.02 (Fri)

  晩秋の宿場町が日暮れとともに闇に沈み、夜寒の旧街道では落葉が風に巻きあげられて、乾いた音をたてていた。   中山道でもこの辺りは飲食店や旅館が少なく、漆器や曲げわっぱなど工芸品を多く扱う店が多い地域にあたる。ほとんどの店が日没とともに店を閉めてしまうため、夜道を行き交う人影もなく、民家の軒灯だけが狐火のように浮かんでいた。「……夜分にすみません。今晩は」 出梁造りの軒下に杉玉を吊す『藤崎酒造』の格...全文を読む

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ホワイトナイト39

第四章

2015.10.02 (Fri)

 「だけど、この年の瀬に急に銀行さんに貸し渋られたら、藤崎さんだって断れませんよ。だって、銀行に融資してもらわないと、来年の仕込みに使う原材料も買えなくなってしまうんですから」 石のように黙りこくる藤崎に、陽介は世間話の延長のように会話を仕掛ける。 しかし、陽介の口から『貸し渋り』という台詞が出た途端、藤崎はハッとしたように目を上げた。猛も思わず横に跳ね退き、隣の男をまじまじ見つめる。そもそも藤崎酒...全文を読む

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ホワイトナイト40

第四章

2015.10.02 (Fri)

 寒風吹きすさぶ旧街道で陽介がコートの衿を立て、冴えた夜空を見上げている。猛も白い息を吐きながら、夜道に佇む陽介に迫った。      「ちゃんと説明してくれませんか」 きっと、綾のカフェで房子の話を聞いた時点で、陽介の頭の中には蔵元達を裏で束ねる『誰か』が見えていたのだろう。凄むように言い放つ猛に、陽介はちらりと一瞥を寄越した。「藤崎さんとこの主要銀行の筆頭株主は、芹沢製薬の会長だ」 陽介はコートの...全文を読む

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ホワイトナイト41

第四章

2015.10.02 (Fri)

 「……冷えるな、今日は」              吹きつける木枯らしに目を細め、欠けた月を仰いで呟く。  冴々とした月明かりに照らし出される横顔は少年のように汚れがなくて静謐だった。その繊細な横顔の稜線を眺めるうちに、切なくなるほど鼓動が高鳴り、怒る気力をなくしてしまう。 こんな所も陽介は本当に狡いとあらためて思う。 猛は拗ねるように口を噤み、陽介の後に続いて歩いた。ゆるやかな勾配の坂道は去りゆく...全文を読む

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プロフィール

坂東蚕

Author:坂東蚕
BL小説書き。
小説ディアプラス第27回チャレンジスクール編集部期待作・第1回BL小説大賞編集部期待作受賞。
お仕事ものや、和風、明治大正昭和レトロなBL好き。

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